ライター・管理栄養士 御澤 栄輔

冷たくて乾燥した空気を利用して冬に「干し野菜」を作るのが密かなブームになっているのはご存知でしょうか。風味も栄養も倍増し、食物繊維もたっぷり摂れるのが人気の理由です。必要なのは日光だけ。

今回は寒い季節を楽しむ「干し野菜」をご紹介します。

きちんと使いきる知恵

もともと食材を干す「日干し」は、昔の家庭では日常的に行われていました。
年中食材が手に入る今とは違い、収穫した作物を無駄なく使い切るのが当たり前。そのため手軽に保存性を高められる「日干し」がぴったりだったのです。それに、旬の野菜や果物を長く味わえる方法ですから、昔の人のささやかな贅沢だったのかもしれません。

減るけれど増える?栄養素

日干しによって保存性が高まるだけでなく、旨味や甘味、栄養を増やすことができます。これは水分が抜けて旨味が凝縮すると共に、食材の中に含まれる<酵素>が活性化するためです。
例えば、野菜に含まれる酵素のアミラーゼがでんぷんを分解し、ぶどう糖などの糖を作るので、甘みが増すというわけです。また、美容に必要なカリウムなどのミネラルも多く摂ることができます。

干し野菜に挑戦

では作り方をご紹介。用意するのはザル(なければ新聞紙でもOK)と野菜や果物などの材料だけです。

【作り方】
①材料を洗って、適当な大きさに切り、しっかり水気を拭き取ります。
②ザルや新聞紙に広げ、日向で干します。2~3時間おきに裏返すと乾きやすいです。
③干し時間は半ドライなら数時間、長期保存なら3日~1週間干します。
保存は乾燥剤と一緒に密閉容器に入れます。干し終えてから2週間ほどで使い切りましょう。

●下ごしらえのポイント
・キノコ類は洗わず、手で裂くか、そのままでも大丈夫
・根菜類は干しやすい5mmの厚さが目安
・余った大根やにんじんの皮を千切りにすると、きんぴら用の保存野菜に

●干すときのポイント
・よく晴れた日の10時~15時がおすすめ
・日の落ちる夕方には家にしまいます
・2~3時間おきに裏返す

<出来上がったら♪>
干し野菜は水で戻さなくても、そのまま鍋や味噌汁の具になります。旬に沢山出回る野菜や果物を贅沢に、余った野菜をエコ感覚で干して下さいね。