生活様式が様変わりする中、あらためて自然と共生する価値観も広がっています。
今は遠出することはなかなか難しいですが、ちょっとした木々を眺めるだけでも気分転換になりますね。
今日はそんな私たちと共にある樹木について。
森の中にいると爽やかな空気が広がり、つい深く深呼吸したくなりますよね。ストレスを忘れ、身も心もリフレッシュし、清々しい気持ちになることが出来る『森林浴』。
今回は、森の不思議な力をご紹介します。
腐敗臭がする森はない
森林浴の効果をもたらす正体は『フィトンチッド』という主に樹木が作り出し発散する物質です。(※1930年頃 旧ソ連のB.P.トーキン博士がこの植物の力を発見し名付けました。)
土に根づき生きている樹木は外敵から攻撃や刺激を受けても逃げる事が出来ません。そのため樹木はフィトンチッドを作り、発散させることで自らの身を守っているのです。
フィトンチッドの主な働きは、
◎動物から葉・幹を守る作用
◎昆虫や微生物を忌避・誘因する
◎病原菌に感染しない
◎他の植物の生長を防ぐ作用
など。このフィトンチッドの働きで樹木は何百年、何千年と生きる事が出来るのです。
それに、森の中で動物などの死骸の腐敗臭がほとんどしないのは、実はフィトンチッドの消臭作用があるからなのです。
桧風呂もそうだった!
他の生物に対して自ら守る自己防衛の働きがあるフィトンチッド。でも、私たち人間にはよい効果をもたらし、昔から生活の中に巧みに取り入れられてきました。
例えば・・・
桧やヒバの防虫効果を利用して虫に強い家を建てたり、お風呂を作ります。世界最古の木造建築「法隆寺」にはヒノキが使われています。
他にもお寿司屋さんを覗くと寿司をのせる飯台にヒノキ、ネタケースの中にはサワラの葉、刺身にわさびをつけたり。これらはすべて食べ物の腐敗を防いだり、鮮度を保つ効果を利用したものなのです。
このようにフィトンチッドは暮らしに深く関わり、私たちは色々な場面で恩恵を受けています。
森の力で病気を倒す
フィトンチッドは、リフレッシュ、除菌、防虫、消臭効果だけでなく、がん細胞やウイルスなどを退治するNK細胞を活性化させる事が実験で確かめられています。 つまり、人にいいものは働きを良くし、悪い菌は分解して無害化するので、私たちの健康にも素晴らしい力を持っているのです。
《フィトンチッドがもたらす効果》
1、リフレッシュ
自律神経の安定、快適な睡眠をもたらす、肝機能を正常にする
2、除菌・防虫・消臭
食品の防腐・除菌、部屋や浴室のカビ・ダニなどの害虫に対する防虫、空気の浄化
3、免疫アップ
私たちの健康を維持する
上手にフィトンチッドを生活に利用することで、健やかな生活を送ることが出来ます。
感染対策には気を付けながら、近くの公園や森の中を散歩する際には、森の不思議な力『フィトンチッド』を肌で感じてみましょう。