ライター・いしずか 久見子
外出時には、鍵やお財布とともに”マスクを持ったか”確認することがすっかり習慣となりました。
マスク着用の目的は、もちろん体内へのウイルス侵入を防ぐためですが、どんなに呼吸のしやすさを謳ったマスクをしていても、やはり未着用の時より息苦しさを感じますよね。
実際、酸素の取り込みもやや減少するため、マスクの下では口呼吸が助長されやすくなっているという医師の指摘もあります。
実は、哺乳類動物の中でも口で呼吸をするのは言語を話すようになった人間のみ。
ほかの動物は、呼吸は鼻、食べ物の摂取は口、ときっちり役割が分かれているそうです。
人間の場合、会話、呼吸、食べ物の摂取、いずれも口の役割なので、口内の水分がどんどん奪われやすく、ドライマウスや歯周病といったトラブルとはつねに隣合わせ。
▲口呼吸の助長→扁桃での炎症頻度アップ→治癒が追いつかなくなれば免疫力の低下
という流れが起こってしまうわけです。
さらには、マスクの下で口がぽかんと空いた状態が続くと、口周りの筋肉(口輪筋)の働きが弱まり、唇まわりの縦じわやほうれい線など、老化のサインも助長されるというWパンチに見舞われます。
一方で、「鼻呼吸」の場合は第一関門として繊毛というフィルターがあり、それをくぐり抜けても粘液に絡めて鼻水として外に出すという、優れた浄化機能が備わっているため、さまざまな異物が入ってきても簡単には扁桃にたどりつきません。
健康と美容に災いを招く口呼吸を防ぐ対策としては、まずマスク着用時でも「鼻呼吸」を意識づけることから始めましょう。
1日に何度か、移動中や休憩時などにゆったりと鼻から呼吸を繰り返す時間を持ってみてください。
<必ず押さえたいポイント>
1、吸う息は必ず鼻から。吐く息も、ウィズ・コロナの間は喉を守るためにできるだけ鼻からがおすすめです。
2、ゆったりと一定のリズムによる「深い呼吸」を心がけること。
ヨガや瞑想において呼吸法が欠かせないように、呼吸はセルフで心と体を無理なく整えられる最も簡単で有効なアプローチです。
就寝時も休むことなく24時間、体のあらゆる機能を自動調整してくれている自律神経系を、自らの意思でコントロールできる唯一の方法ともいえます。
そして自律神経系へのアクセスという点では、やはり腹式呼吸が効果的です。
<腹式呼吸のステップ>
1、口をきちんと閉じる。
2、(お腹をへこませながら)鼻からゆっくり息を吐き切る。
3、(お腹をポンとゆるめながら)鼻から息を吸い込む。
吐く、吸う、それぞれを約5秒くらいかけて繰り返し行うと、だんだん深くゆったりなリズムが定着していくと思います。
そしてお腹をしっかり使って血管や血圧に働きかけることは、交換神経と副交感神経のスイッチを活性化し、結果として心身のリラックスが高まる、という仕組みです。
また、鼻呼吸と併せて実践していただきたいのが口周りの筋肉のトレーニングです。
<口周りの筋肉トレーニング>
1、上下の唇を合わせて口を閉じ、ぎゅっと前に突き出して5秒間。
2、そのまま唇を内側に巻き込み「む」と「ん」の中間くらいの音を出す感じで5秒間を5セット程度。
「鼻から吸って鼻から吐く腹式呼吸」と、「口周りのちょこっと筋トレ」。
どちらもマスクをしたままでも出来ますが、緑豊かな屋外など、マスクを外して思い切り深呼吸できる場所で行うのも良いリフレッシュになると思います。
隙間時間を活用して鼻呼吸を体に落とし込み、元気に夏を乗り切っていきましょう!