ライター・神津まり江

私の母は、自然療法の治療院を営んでいます。
実家で暮らしていた頃は、母の細やかな手当てのおかげで市販の医薬品を飲んだこと、医者にかかったことは一度もありません。
そんなお話をすると、たいていの方は興味をもってくださいます。
「どんな治療やケアをしているの?」
「おすすめの手当法を教えて!」
「こんなトラブルのときは、どうしている?」などなど。  

実際のところ、自然療法にはあらゆる症状や病気に対する手当て法があるのですが、用いるのはふだんの食の延長上にあるものが 多く、とっても身近で、なおかつ簡単な方法がたくさんあります。

そのうちの 1つで、私が小さな頃から親しみ、今も必ず常備しているのが番茶。それも、晩夏から晩秋にかけて摘み取った茶葉と茎を天日干しし、三年の熟成期間を経てから焙煎した「三年番茶」です。


晩夏から晩秋にかけて摘み取られた茶葉は、カフェインやタンニンといった刺激物質が少なく、胃腸にとても穏やか。さらに天日干し、三年もの熟成期間を経ることで、刺激物質はすっかり抜けきり、体を温め、胃腸の働きを助ける、薬効高いお茶となるんです。

さて、この三年番茶、そのままでももちろんおいしい健康茶として楽しめるのですが、ちょっとしたものを加えるだけで、日常的なトラブルの手当てに大活躍してくれます。

●梅干し番茶
梅干し1個に、熱い番茶をさして飲みます。胃腸の働きを整えるため、日常的に飲むとよく、また血行をよくして老廃物の排出を促し、疲労回復にも効果的。

●醤油番茶
自然醸造の醤油を1、2滴垂らしたところに、熱い番茶をさして飲みます。
新陳代謝を活発にしてくれるので、体力が落ちている人は、入浴前に醤油番茶を一 杯飲んで。その後ベッドに入るとぐっすり眠れ、徐々に体力が 回復してきます。

●梅しょう番茶
梅干し1 個、少量のすりおろし生姜に熱い番茶をさして飲みます。食べ過ぎ、胃もたれ、胃痛、食欲不振、下痢、便秘といった胃腸のトラブルのほか、風邪の予防やひき始めの風邪の手当てにと大活躍。風邪の手当ての場合は2、3杯飲み、汗をたくさんかくようにするのがポ イントです。

●塩番茶
少し冷ました番茶に、2つまみほどの自然塩を溶かします。のどが痛むとき、違和感を感じるときのうがい剤として用いるほか、結膜炎やものもらい、目のかゆみが気になる時の洗眼剤としてもおすすめ。

どれもこれも、とっても簡単 にできそうでしょう?

ふだん使いのお茶が、困ったときのレスキューにもなる。みなさんもこの秋からぜひ、「三年番茶」を役立ててみてくださいね。