ライター・いしずか 久見子

月経は、女性にとって日々の生活を大きく左右するもの。
私も思春期の頃はPMS(月経前症候群)が非常に重く、毎月のように理由もなく悲しくなったり、失敗をするのも必ず月経前でした。

しかし、年齢を重ねるとともに女性ホルモンの働きに注目し、セルフケアによってPMSの症状が少しずつ軽減されていきました。

女性ホルモンとライフステージ

女性ホルモンには、月経をはじめ女性らしい体の形成に関わるエストロゲンと、妊娠を司るプロゲステロンの2種類があります。一生で分泌される量はほんのティースプーン1杯程度といわれますが、次のように女性のライフステージを大きく変化させていきます。

上の図でいうと、性成熟期には月経周期が安定し、生理痛が軽くなる方が比較的多いといわれますが、そもそも月経は個人差があるもの。約1か月の周期の中で、メンタルのアップダウン、めまい、肌荒れ、むくみ、便秘といった不調を全く感じないという方は、割合として少ないと思います。
とはいえ、「クリニックで低用量ピルなどを使った治療を受けるほどでは・・・」という方が多いのも事実。

肌荒れや便秘、むくみなどの身体的な症状については、バランスの良い食事、腸活、漢方なども有効ですが、とくに悩ましいのはメンタルの不調ではないでしょうか。

自律神経の働きを整えるセルフケア

そこで、私がおすすめしたいのは、自律神経の働きを整えるセルフケアです。
というのも、女性ホルモンの分泌を指令している脳の視床下部では、自律神経の調節を行っている場所でもあるからです。

自立神経には、心身を活動モードにする交感神経と、心身を休息モードにする副交感神経があります。日常生活の中で2つの働きを整えるポイントは、

●決まった時間の起床・就寝
●朝日をしっかり浴びて覚醒
●精油の香りを活用
●肌触りのいいリネンで睡眠の質をアップ
●適度な運動
●湯舟につかっての入浴

などです。

例えば、精油を活用するなら、月経前の倦怠感や眠気については、心地よく気分を目覚めさせてくれる柑橘やハーブなどのリフレッシュ系の香り。気分が落ち込みがちな時は、副交感神経を優位にしてリラックスに導く花や樹木系の香りがおすすめです。

また、運動や湯舟につかっての入浴は、筋肉を柔軟にし、血流を良くするという意味で、冷えによる血行不良で助長される月経前や月経時の痛みを和らげてくれます。

ひとつひとつはささやかなことですが、積み重ねて自律神経のリズムが整いやすくなると、月経時の心身の揺らぎの幅が小さくなります。

現代の女性は、仕事、育児、介護など、忙しく働いていて自身を労わる時間を持ちにくい環境で生きていますが、セルフケアの意識を持って過ごすクセをつけておくことは、誰もが迎える更年期を軽やかに乗り越える貯金となってくれると思います。